2012年03月28日
『事実上の脱原発』内田誠さん
内田誠さん(ジャーナリスト)
―今朝のキーワードは『事実上の脱原発』。
昨日で東京電力柏崎刈羽6号機が止まって東京電力管内はただの1基も原発が動いていないことになりました。かつて、データ隠しで東電が怒られて17基原発が全部止まったことが実際ありましたけれども、その時と同様に何の異変も起こらないことを我々は経験しつつあるわけですよね。
50パーセント以上原発に頼っているとされている関西でも既に一足お先に原発なしの生活が始まっています。5月に泊原発3号機が止まれば54基全部止まった状態になるということですね。
政府は再稼動の話に非常に前のめりになっていていろんな形でやろうとしていますけれども、地方の反発を含めてとても出来る状況ではおそらくないと思うんですね。脱原発の状況は政府がはっきりと工程表を出さない中で実際上出来てしまった形なんですね。去年の夏も今年の冬もおそらく今年の夏も乗り切れるでしょう。いろいろ原油だかだかいう問題はあるかもしれないけど、原発が及ぼす災いの大きさに比べて我々はどっちを選ぶんだということになった時に今の状態をよーく噛み締めてこれでいいんだと考えたほうがいいと思うんですね。
電気の使用量はどんどん減っています。日本全体。省エネの技術はどんどん進んでいます。新しいエネルギーは工夫次第でどんどん増えます。そういう状況の中で原発が安全かどうかという議論はもちろん大事ですし、ただ百歩譲って仮に安全な原発であったとしても必要ないということがあるんですね。使わなくてもいいもんだったら、特にゴミの処分の問題ですね。核のゴミを処理できる技術が未だにないわけですね。そういうものを使い続ける必要が本当にあるのかどうか。夏段々暖かくなっては来ますが、十分そういうことを考えながら過ごしていきたいと思いますね。
電力が足りなくなるかもしれないよと怖いんですけれども、需給調整契約というタイプの契約があってピークの時はいつでもシャットダウンしていいですよという契約があって電気代が安くなっているんですよ。そういうのを公共機関とか企業の一部が結んでいてそれをもっと広げるというやり方をすると、年に5時間ぐらいしかないピークをカットできればこの問題は解決しちゃうんですよね。だから、みんながたくさん使う時間帯の電気料金を高くしてあげれば、企業は工夫する。そうやれば頭の部分はカットされてしまうので原発も再稼動も全く必要なくなるというのがおそらく現状だと思いますね。
(2012年03月27日 文化放送「内田誠のソコダイジナトコ」より)