2010年10月14日

『悪の教典』大森望さん

omori




大森望さん:(辛口書評家)



貴志祐介さんの最新刊の『悪の教典』という物凄い分厚い。



王様のブランチで優香さんが下巻を3時間で読みましたと。読み出したらばんばんと。後半はアクションに継ぐアクションで次々に人が死んでいくので。


面白いですよ。殺人鬼ものです。今年は悪と正義が流行しているんです。正義はマイケル・サンデルさんの『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』というのが50万部だか60万部売れている。



『悪人』とか



島田雅彦さんが『悪貨』というのを書いていて



中村文則さんの『悪と仮面のルール』



悪とつく話がたくさん出ている。悪ブーム。

マンガでも『デスノート』とか、映画でいうと『告白』。復讐の話だけどそこまでするかよという相当悪い感じ。



今回の『悪の教典』はその中で一番極端な。主人公は格好良い英語の先生で京大の法学部を卒業してアメリカに留学してMBAの資格を取って投資銀行でばりばりに働いていたんだけど脱サラして高校の先生になる。先生としては物凄い優秀で女子生徒にも絶大な人気がある。はすみんと言われる。父兄にも先生にも人気がある理想の教師だけれども実は物凄い人格破綻者で反社会性人格障害、サイコパスという人の心の痛みがわからない、善悪の判断がつかない。

共感能力はない代わりに頭は良いのでこうしたらこうなるんだろうなというのを学習して理屈ではわかる。物凄い人を殺しまくっている。全校で一番かわいい子をもらいます、その代わり問題児も引き受けますと。問題児と美少女のクラスをいかに運営するかゲームを一人でやっている。クラスをうまく回していく。歯車が狂い始めるとしょうがない殺すかみたいなことに。本性が明るみに出てくる。

先生になる前に30人の人間を殺害してきたにもかかわらず〜殺人についても緩急をつけ〜

という手順で。ばれずにやっている完璧な悪の帝王みたいな格好良いんです。前半はあれいいんじゃないのと。

後半になるとこれはもう。一人殺したのがばれそうになると隠蔽するためにしょうがないなとかわいい子集めたけどしょうがないなとなって文化祭の準備の日に点呼を取るところから始まって。カウンターを持っていて減らしていく。自分で全部やると。滅茶苦茶面白いですよ。後半は。

『悪の教典』は何点ですか。

82点。

今年のミステリーのベストに入ってくるんじゃないかと思います。あっという間に読めますから。道徳的な人はちょっと抵抗があるかもしれません。

(2010年10月14日 文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」文化放送PodcastQR - 大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹紳士交遊録」から抜粋)



貴志祐介さんのは聞いただけでもざわつく。島田雅彦の芥川賞選考委員にには触れなかった。

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